2017.12 第24号
[2017.12.12]先月に引き続き、10月の小児感染症学会で学んだ最新の小児の感染症に関する情報をお伝えします。
〇腸内細菌叢(さいきんそう)について(今、話題の腸内細菌フローラのことで、腸の中にいるたくさんの細菌の集まり)
・出生時~乳児期に、腸内に色々な細菌が住むようになり、3歳以降は成人になるまで、ほぼ変化はない。
・乳児期に抗生剤を使用すると、細菌叢が乱れてしまう。 →(小口より)尿路感染症、肺炎などで抗生剤を使わなければならない状況のお子さんについては、治療優先です。しかし、必要がないのにむやみに、抗生剤を使用することは避けた方が良いようです。先月号でもお伝えした通り、通常のかぜには抗生剤は必要ありません。
・より良い腸内細菌叢によって①腸の運動、吸収を助ける②良い免疫細胞を増やし、感染を防いだり、発癌を抑えたりする
・最近では、アレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎)の一部に細菌叢の乱れが関連している可能性があるという報告あり。 →(小口より)アレルギー疾患との関連はまだ確定はしていない状況です。もちろん、アレルギー疾患には遺伝的なもの、環境が主な要因ですので、このことが主な原因ではないです。 ・プロバイオティクスなど(ヨーグルト、乳酸菌飲料、オリゴ糖)は腸内にあまり定着しない。病気が治ったという報告はまだない。
~感染症情報~ 地域で流行している感染症をお知らせします
〇ウイルス性胃腸炎 少し増えています
ノロ、ロタ以外のウイルスによる胃腸炎が少し増えています。嘔吐から始まったり、嘔吐はなく下痢のみだったりと症状は色々です。嘔吐が頻回で水分摂取もできない時は吐き気止めを、水のような下痢の時は整腸剤を処方しますが、特効薬はなく、ウイルスが下痢として外にでるのを待ちます。その間、大切なことは、イオン飲料による水分補給と消化の良い食事にすることです。
〇みずぼうそう 一部の小学校で多学年にわたり流行しています
赤いぽつぽつとした発疹が体中にまんべんなくでます。熱がないことの方が多いです。発疹が出始めのうちに抗ウイルス剤を内服すると少し症状が抑えられます。予防接種は2回接種をお勧めしていますので、これまでかかっていない人は予防接種をしておきましょう。接種していてもかかることはありますが、軽くすみます。
〇溶連菌感染症
最近、幼稚園、小学校の両方で増えてきています のどが痛くなるだけでなく、嘔吐を伴う子もみられています。
※インフルエンザはこちらの地域では、まだ流行していませんが、三鷹市内の他の地域では、流行が始まっているようです。
~ホームケアアドバイス~ 看護師より 冬の子ども服、何を着せればいい?
枯れ葉が舞い落ち、朝夜の突き刺すような空気が冬の到来を感じさせる今日この頃ですが、日中はまだ日差しも暖かく子どもの服に迷うことが多くあると思います。
子どもは新陳代謝が激しく、大人と比べ体温も高めなので、親自身が寒いからと言って子どもにも同じように着させるのはよくありません。
今回、日常での場面や子どもの体質での服装、素材などをご提案させていただきます。
(外出時)
インナーを重ね着すると体が動きにくく、汗をかいても脱がせにくいので、アウターで調整をしたり、ベストなど腕が動きやすく調整しやすい服が良いでしょう。また、体にフィットしているものより、厚すぎず、サイズに少しゆとりのあるものを重ねると、体と服、服と服の間に空気の層ができ保温効果が増します。
(屋内)
肌着+長袖Tシャツかトレーナーで十分です。
(素材)
子どもの皮膚は大人の半分程度の厚みしかなく、外からの刺激によりトラブルを起こしやすく、1~6歳頃までは皮脂の分泌量が最も少ない時期です。このような理由から子どもは乾燥肌になりやすいです。乾燥肌を悪化させる一つとして、服の素材があります。
・ヒートテックは、水分を熱に変換させ体を温めてくれますが、逆に体温が上がりすぎてしまいます。
・ウールは、敏感肌にはチクチクと刺激を与えます。
・フリースは、静電気が起きやすく、肌のバリア機能を破壊してしまうため皮膚を傷つける原因になります。
皮膚の敏感な子どもには刺激が弱く、汗の吸収も良い綿が良いでしょう。
最後に・・・ 体質的に敏感肌な子とそうでない子がいたり、同じ空間で遊ばせていても、汗ぐっしょりになる子とそうでない子がいます。天気や気候、子どもの体質によっても違いがあるので、子どもの状態を気にかけ、服の調節をしてあげることが大切です。
~年末年始の休診のお知らせ~
12/29(金)午後~1/3(水)まで休診とさせていただきます。
お急ぎの方は、下記のご利用をお願いします。
三鷹市休日診療所(三鷹市医師会館) 武蔵野赤十字病院 杏林大学医学部付属病院