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2021.9第65号

[2021.09.16]

~コロナウイルス感染症関連情報~

1,変異株(デルタ株)について

現在、ほぼ100%に近い割合でデルタ株が検出されています。デルタ株は従来の株に比べ、感染力が強いため、新学期が始まることで、園や学校内での感染の増加が危惧されていました。新学期が始まり、2週間ほど経過しましたが、園・学校での感染対策のお陰でしょう、クラスターの発生は少数にとどまっているようです。今までと同様に、家族内感染(大人から子供への感染)の割合がまだまだ多い状況です。感染者数が減少傾向にありますが、大人の感染予防、そして外出時の3密を避ける対策は引き続き行っていきましょう。先日、小児科の学会の講演で「大人は、なんちゃって緊急事態宣言状態なのに、子ども達の学校生活において、これ以上我慢しろというのはどうなのか?」というコメントがありました。その通りだと思います。
 小児において重症化することは、従来株と同様、ほとんどありません。30歳代と比較した重症化率は、10歳未満0.5倍、10歳代は0.2倍と小児は依然、低いですが、40歳代4倍、50歳代10倍となっており、従来株よりも壮年期の重症化が目立っています。

2,ワクチンについて 

デルタ株に対しても、ワクチンによる発症予防効果は70~95%と、とても有効性が高いワクチンです(インフルエンザワクチンの発症予防効果は50%前後)。接種部位の痛みは、筋肉注射なのでほぼ必発、しょうがないです。日本で行われているワクチンのほとんどは皮下注射(筋肉の上の層)なので経験したことがないため、アピールされがちですが、筋肉注射の方が皮下注射より効果がでやすいということもありますし、数日で軽快するので、我慢しましょう。同じく、発熱も1~2日でよくなることがほとんどです。とにかく、社会活動が活発な親御さん世代の多くの人が接種していただき、家族内感染を予防するのが第一です。そして、社会全体の感染者数を減らすことにより、緊急事態宣言が解除され、学校や園での活動の制限がなくなり、子ども達が子どもらしく、伸び伸びと生活できるようになって欲しい!これが私の一番の願いです。
 妊婦の方も時期を問わず、接種可で、発熱時のアセトアミノフェンの内服は問題ありません。もちろん授乳中もOKです。また、接種したからと言って、不妊になるということはありません。
 そして、12歳以上の子ども達への接種ですが、健康な子どもはほとんど重症化しないので、メリットは大人に比べると低いので、接種した方がいいの??という質問をよく受けます。私は、接種した方がいいと思っています。理由は、①重症化しないという健康な子どもでも、感染した場合は軽症でも、隔離の期間が10日間程度なので、その間、学校を休み、自宅待機が必要になること、②多くの子どもが接種することで、学校内での感染拡大→学級閉鎖を減らすことができ、又、集団での学校行事が行いやすくなること、③学校以外の活動範囲が広い中高生の場合は、特に感染する可能性が高いこと、が理由です。受験生はもちろんお勧めします。
 デメリットは、副作用として、若い人では2回目接種後の発熱率が高いこと(20%前後)、稀ですが、若い男性での心筋炎、若い女性で接種直後にドキドキしたり、過換気になったり、失神したりなどがあります。心筋炎はとても稀で、アメリカでは100万回に4件程度です。ドキドキ、過換気、失神は、思春期に他のワクチン接種でも起きやすく、特にコロナワクチンだからということではありません。体調が少し悪い時、不安がある時は無理せず、体調、気持ちが落ち着いている時に接種しましょう。これまで採血、予防注射で気分が悪くなったことがある人は、ベットに寝ながら接種すれば、安心です。若い世代ほど、SNSによる誤った情報を得ることが多いため、不安が大きくなる傾向にあると感じています。確かな情報を大人が提供してあげましょう。スマホで見やすい正確な情報源として、「厚労省の新型コロナワクチンQ&A」と「COV-Naviこびナビ」が、お勧めです。

 

~感染症情報~ 

○ウイルス性胃腸炎 少し流行しています

 ノロやロタウイルス以外のウイルスが原因のようで、嘔吐、下痢はひどくないことがほとんどです。
 最近、普段から便秘のお子さんが胃腸炎になり、下痢はないが、腹痛、悪心が強いことがあり、診察して、お腹が硬めで便がたまっていそうな場合、浣腸を行うと、硬い便が出て腹痛が軽くなることが散見されます。大きくなると、お子さんの便の状態はわからないことが多いですが、トイレの時間が長いことが多い場合(=排便に時間がかかる)は、時々、便の様子を聞いたり、見たりしてあげましょう。慢性便秘になると、食欲も低下して、余計に便秘も悪化するという悪循環になります。

※今シーズンのインフルエンザの流行はどうなるの??

 今年は、去年流行がなかったRSウイルス感染症が大流行したので、同様に去年流行せず、免疫を持っていない人が多い感染症が流行する可能性があります。昨シーズンは全国的にインフルエンザの流行はありませんでした(当院でも0件でした!こんなことは初めてです!)。そして、緊急事態宣言が解除され、年末年始、以前のような民族大移動となると、インフルエンザが流行する可能性は高いと思われます。したがって、ワクチン接種は例年以上に、お勧めします。ワクチンによる発症予防効果はコロナワクチンより落ちますが、お子さんはコロナよりインフルエンザの方が重症化しやすいので。
 しかし!!、日本全体のワクチン供給数が例年より減ることになり、当院での接種予定数も減らさざるをえなくなりました。そしてコロナワクチンも並行して行わなければならないので、今シーズンは接種対象をお子さんのみとさせていただきました。申し訳ありませんが、ご了承ください。

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